厚真町高丘　2016年11月 　　苔むして、すでに屋根が半分落ちている、茅葺屋根の農家。 　　周囲は植物に覆われ、控えめに見ても、すでに離農して１０年は経っている。 　　珍しいところでは、玄関戸の直上に、家主の氏名と、家族全員の名前、さらに郵便番号入りで住所までもが記されていた。 　　地方の一軒家を訪ねると、こうした『家情報をすべて掲示する』というセルフ情報公開が、稀に見られる。 　　これは、日本でまだ家長制度が強かった、戦前戦後にかけて流行した制度（？）らしい。 　　私も久しぶりに見かけたが、こんな表札が残っていたことに驚くとともに、どこか懐かしい気分になった。 　　現代社会では、田舎とはいえ、ここまで情報公開する人は絶滅種だと思うが、同時に、これは一級の歴史資料ではないかと思えてならない。 　　もしかするとこの家は、民俗資料としても貴重なのではないだろうか？ 　　戻る