石狩市 浜益地区 千代志別　2019年10月 　　Ｔ熊氏住宅。 　　典型的な漁場建築であるが、この家にも人が通年では住まわれていないらしい。 　　私が数年前に訪れた際、この家の前には、花壇が奇麗に飾られていた。 　　その頃は多分、通年でお住まいだったのではないか。 　　花が見られなくなってしまったのは率直に寂しいと思う。 　　ところで、写真では陰になってしまったが、この家の裏には古い網庫が建っていた。 　　網庫というのは、文字通り鰊漁で使っていた網を保管するための専用の蔵のこと。 　　専用の蔵を建ててしまうくらい、網は漁師にとって大切な存在だったのだが、しかし鰊が来なくなってしまうと無用の長物である。 　　それなのに、今でも網庫が取り壊されずに、現役で残っていたのだ。 　　きっと物置として使っていたのだろう。 　　まあ、鰊漁が盛んだった道内の日本海沿岸には、網庫はときどき遺されてはいるのだが、この家のように標高のある場所に遺されていたのには驚いた。 　　海岸まで距離にして３００メートル、標高も２０メートルはある場所なのだが。。。 　　ちなみに網庫は、湿気を避けるために高床式の構造となっているので、見ればすぐに分かる。 　　お会いしたことは無いが、往時、漁師だったＴ熊さんは、網庫から網を出して坂道を下り、まだ荒れた日本海に漕ぎ出していたに違いない。 　　 　　石狩市のトップに戻る