石狩市 浜益地区 濃昼 2019年4月

  濃昼の街へと下るゆるい坂道を降りていくと、川の手前に木造住宅が建っていた。

  2017年、この街に寄った際は、まだ有人だったことと覚えている。

  あるいは、夏の間だけ家人が戻ってきて、この家に住まわれているのかも知れないが、常駐していないのは寂しいものだ。

  この旧T沢宅は典型的な漁場建築であり、日本海側の古い漁師の家屋は、こうした形状のものが非常に多く見られる。

  玄関の位置こそ多少変わるものの、横向き箱形の住宅に玄関+奥行きという構造はどこも共通だ。

  ときどき2階建て、もしくは横方向に建て増ししていることもあるが、鰊番屋を別格とすると、漁村の基本的な家屋構造といっていいだろう。

  むしろ昔はそういう住宅ばかりだったため、気がついたら減っていたというのが現状かも知れない。

  ただ、人が常駐していないという点で、残念ながら時間の問題であろう。

  この家も、取り壊されてしまうか、それとも、自然に還っていくのであろうか……



  

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