石狩市 浜益地区 送毛　2019年4月 　　すぐ横を通り過ぎるだけで、割れた窓から旧Ｎ川宅内部が見えた。 　　このような覗き行為は、もちろん褒められたものでは無いかも知れない。 　　だが、見たくなくても、この道しかないうえ、通る度に中が丸見えになってしまっているのだ。 　　実際のところ、窓が割れ屋根板すら飛び始めていることから、全体が潰れてしまうのも、時間の問題であろう。 　　ただ、それまでの間は、通行人にこの景色が提示されることとなる。 　　集落にお住まいの方が何とかしてくれれば良いのだが、通りすがりの私が補修するのも変な話だし、旧Ｎ川宅はこのまま朽ちていくのかも知れない。 　　あらためて見ると、家具類こそ少ないものの、生活用品がそれなりに遺されていることが、侘しさを誘っているように思う。 　　きっと何度となく家人がこの家に帰宅し、やがて年と共に持ち主がこの世を去り、子孫たちは墓参りの時くらいしかこの家に立ち寄らず、次第に忘れ去られていった様子が目に浮かぶようだ。 　　ただ、手のついていないボックスティッシュを見て、何となく勿体ないなどと感じてしまうのは、私が貧乏性だからだろうか？ 　　どうせ家屋の下敷きとなって腐るくらいなら使ってしまえ、という思考回路は、なるほど合理的ではある。 　　しかしながら、いくら新品状態とはいえ、廃墟からボックスティッシュを盗んできて自宅で使うというのは、何かが大いに間違っており承服出来ない。 　　それ以前に、そうした行為は途轍もなく情けなくて、もし実行したが最後、得をしたなどと思うよりも、たぶん一生後悔すると思われる。 　　また、親兄弟に泣かれるほど情けない行為に間違いなく、そもそも盗みを趣味にするなど、あってはならないことだ。 　　廃墟から物を持ち出すような行為は、厳かに慎みたい。 　　 　　石狩市のトップに戻る