石狩市 浜益地区 送毛　2019年4月 　　送毛海岸の北側方面を見る。 　　海のすぐ傍まで山が迫っており（この断崖は安山岩が主体らしい）、ここから北方向は、海岸を徒歩で移動することが出来ない。 　　それゆえに、人々は船に乗るか、送毛山道という山道を通って、より北のほうにある琵砂別や浜益の方面へと向かったのである。 　　海岸線はとても荒々しく、あまり海水浴場に向いているようには見えないが、シーズン中はそれなりに人が来るという。 　　今は国道２３１号線が完成したお陰で、本当に便利になったものだ。 　　海は荒々しくも美しく、観光名所として見ても悪くない。 　　しかし、たとえ美しい海があっても、人々をこの地に留めておけるだけの豊かさまでは望めなかった。 　　乱獲しすぎたという話もあるが、今から６５年前、１匹の鰊も捕れなくなったとき、人々の胸に去来したものは何だったのだろう？ 　　それでも、鰊は必ず来る、また絶対に来るといって、毎年準備を欠かさなかった人もいた。 　　３年、５年、１０年。そして２０年。 　　彼ら夢追い人は、１人、また１人と減っていき、誰も居なくなったとき、この送毛集落は、過疎に悩み若者が消えた街となっていた。 　　喪われた群来を追い求めた人々が集い、寄り添って暮らしてきた集落は、存亡の危機に晒され、誰からも顧みられることなく、消滅へ向かい時を刻み続ける。 　　人生に終わりがあるのならば、集落にもまた、終わりがあるのかも知れない。 　　その瞬間を看取るることになるのか、それとも、別の道を探すのか。 　　我々は今、選択を迫られていると思う。 　　 　　石狩市のトップに戻る