余市町 黒川　2019年05月 　　余市であれ何処であれ、私は、旅の途中で駅を訪れた場合、周辺をあてもなく探索することにしている。 　　ガイドブックを読み、事前に調べるのは決して悪くはない。 　　でも、自分好みの場所は、自分の手で見つけた方が嬉しい。 　　駅前という土地は、街の顔とは言われつつも、残念なことに、今は寂れているケースが多く見られる。 　　同時に、昔栄えていた街には、発見物が豊富だったりするから侮れないのだ。 　　そう思いつつ探検していると、今度は廃屋と思しき２棟の建物が目に飛び込んできた。 　　駅から南方向に向かい、１００メートルかそこらしか進んでいないのに、またしても物件が見つかったのである。 　　私の仮設はやはり正しかった。 　　さて、こちらの２棟は、いずれも廃墟としか思えない。 　　では、どういう経緯でこうなったのだろうか？ 　　古い住宅地図によると、手前の建物は緑風館という私塾で、奥の建物は佐々木建具店という個人経営の工房だった。 　　佐々木氏のご自宅は工房の裏側、つまり写真から見て死角（線路側）に隣接していた模様。 　　そちらも数年前に無人化しており、工房に至っては、地図によれば少なくとも１５年以上放置されている。 　　いっぽう、私塾のほうは驚いた。 　　写真では分かりづらいが、小さな文字で『学習研究施設』と書かれたステッカーが、色褪せつつも貼られているではないか。 　　研究施設って……研究所？　ここが？？？ 　　この建物で、いったい誰が、何を研究していたのだ？ 　　では今、無人化している廃屋の中には、何が遺されているのか？ 　　そして、建物の玄関先に放置されている、得体の知れないオブジェらしきモノは一体？？ 　　いやはや。 　　ゲームや小説、はたまた探検系動画の題材に最適というか、イチオシな物件であろう。 　　私は遠慮しておくが、いずれ誰かが見つけて、そのうちブレイクする…のかも知れない。 　　 　　余市町のトップに戻る