余市町 大川 村井アパート　2020年11月 　　やってきました、ここは村井アパートの２階である。 　　木製の格子窓と、木製ふすま戸の玄関扉が、出迎えてくれた。 　　玄関先には洗濯機と灯油のポリタンクが置かれ、プランターや箒、チリトリまで備え付けられている。 　　奥には洗濯物を干すヒモが実在するのもさることながら、虫よけの網戸に至っては、直接、窓枠に打ち付けられている有様。 　　いったい、どうなっているのだ？ 　　ここは昭和時代である。 　　私はきっと高校生の頃に、戻ってしまったのだ。 　　しかしながら、昭和に戻った私から見ても、こちらは、かなり歴史ある建物。 　　おそらく、戦前戦後くらいの建築であろう。 　　いやはや、今までよく残ったものだと感心しきり。 　　場所が場所だけに、余市で相次いだ火災から、無縁だったのかも知れない。 　　まあ、水害や洞爺丸台風の風害くらいは罹災したかも知れないが、それらはアパート寿命の決定打とはならなかったのだ。 　　正直、今もこんな空間が遺されているのは、ひとつの奇跡といっていい。 　　街角の異空間ともいうべき、時代を超えた素晴らしいスペースを見つけてしまった。 　　少し手を入れれば、ひと昔前の時代ドラマの撮影にも十分、耐えられるのではないか。 　　個人的には、余市に行った場合、是非寄りたい場所として記憶しておきたい。 　　 　　余市町のトップに戻る